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将来の夢はキリン

校正士への道のり ~簡潔編~

今日は真面目に自分の知識や経験などをまとめる回なのでよろしくお願いします~。

 

今までこのブログで「校正の勉強をする」とか「校正の仕事の真っ只中」というような文面を書いてきたので、この人は校正の仕事をしているのかな~?という認識はあると思うのですが、詳しく書いたことはなかったので改めてまとめてみます。

 

校正の流れについては詳細なメモを残しているため、それをすべて書き起こして詳しすぎて引かれちゃうくらいの記事を書くぞ!と思っていたのですが、まずは簡潔に大まかな流れを書いてみようと思っています。

もしうまくまとめられそうだったら、詳細編も書きたいという気持ちはある。あるけどいつになるかは分からない。まずは今回のものを読んで、大まかに校正ってこんなものなんだと感じてもらえたら嬉しいです。

 

ちなみに書こうと思ったきっかけとしては、自分が苦労したから。校正士になるまでの道のりって全くオープンになってなくない?!?!?と感じています。探せば親切な方がまとめてくださったHPもあるし、Xには現役校正者の方もいらっしゃるが、他の職業に比べて事例が明らかに少ない。少ないのであれば一本でも多いほうがよかろう、という気持ちです。どうぞよろしくお願いします(大声)

 

質問コメントをいただいた id:kctoyamaさんにもぜひ届いてほしい。

 


 

~目次~

 


 

 

そもそも「校正士」とはどんな仕事?

そもそも「校正士」って何やってるの?というところから話していく。

まず、私が校正をする職業のことを「校正士」と呼ぶのは、私が「校正士認定試験」を受けてそれに受かったから。自分を紹介する時には校正士と呼ぶ。一般的には「校正者」と呼ぶことが多いように見受けられる。ややこしいかもしれないけれど、同義なのであまり気にしないでもらえたら助かる。

 

「校正士」の仕事を一言で言うと、出版される前の原稿を確認し、誤字・脱字などを見つけて指摘をすること。

また、文章全体の体裁が整っているか*1を確認したり、文章内に表記ゆれがあれば統一するかどうかの指摘をしたり、難しい漢字の読み方にはふりがな*2をふるかどうかの確認をしたりする。

 

物語の場合は、登場人物の性格や行動に齟齬がないかどうか、時系列が間違っていないか、人物や建物などの名前や一人称・二人称などが統一されて間違いがないかなどの確認。専門書やノンフィクションの場合は、書かれた事実が間違っていないか、名称に間違いはないかの確認など。

ひとことで言うとゲラ*3をチェックする仕事なのだが、細かく言うとキリがないくらいに挙げることができてしまう。いきなり説明が長いな~と思われていそうだが、このように、基本的にはキリの無い仕事ということがよく伝わったのではないかと思う。時間がいくらあっても足りひんでぇ~~~!という私の気持ちが少しでも伝わると助かる。

 

 

 

初心者は何から手を付けたらいいのか?

一番聞きたいところだと思う。まず、初心者は何をしたらよいか。

個人的にはまず、ドラマ『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』を全話見てと伝えたいところなのですが、それは一旦置いておいて……(素敵な作品だし、校正の仕事の大まかな部分が楽しく理解できるのでおすすめ)。

 

校正については、実務で学ぶ or 講座で学ぶの二択。

新卒で校正専門の会社に入るのであれば実務で事足りるかもしれないが、すでに社会人の方がこれからソロで校正士を目指すのであれば講座受講は必須だと感じている。

 

 

おすすめの講座は以下の2つ。

  • 校正実務講座

www.jitsumu.or.jp

www.editor.co.jp

 

私は前者の「校正実務講座」を受講した。

上記2つの講座の無料パンフレットをそれぞれ取り寄せたうえで決めた。決め手は、文部科学省認定の講座だったことと、何より受講料が安かったから。

あまりお金をかけられなかったので、安いことは有難かった。今も届くかは分からないけれど、パンフレットを取り寄せて悩んでいる間に割引ハガキが届いたのでそれが決め手になった(小声)。

 

文部科学省認定ということは国が認めているということでもあるが、デメリットで言うと少し古典的な内容に感じるところかな。昔の印刷方法なども勉強できるので古典から現在まで網羅したい方にはおすすめだが、パンフレットなどを見ると少し古臭いと感じてしまう人もいるかも。

それに比べると日本エディタースクールの方はより新しい情報のように感じる。パンフレットも綺麗にまとまっているので、受講料が高いのも納得。

両方を受けたわけではないので正確な比較はできないが、基本的な学習内容は共通していると思うので、どちらを受けたから得とか損とかそういうことはない(と、思っている)。

 

最も大きな違いは、前者は通信講座のみだけれども、後者は実際に通える教室もある点。全日制コースもあれば夜間コースもあるし、もちろん通信講座もあるので選べる幅は広い。私は都内から遠いので通信講座一択だったが、通える範囲の方は自分の環境に最適なものをよく比較検討して選んでほしい。

 

また、勉強が終わって仕事をすることまで考えるのならば、もしかするとエディタースクールの方がいいかもしれない。「校正実務講座」は、修了後に仕事を紹介すると謳ってはいるのだけれども一切の紹介はなく、結局自分で仕事の契約を取ったので。エディタースクールは受講していないので詳しくは分からないが、エディタースクール出身で仕事につながったという方が多い気がする。

少なくとも私の観測した範囲での話なので、あまり当てにしないでほしい。けれど、勉強だけでなく仕事にするのならその観点で講座を選ぶのも大事。あと、最後はフィーリングが合いそうな方がいいと思う。課題の締切とか、テストのやり方とか。

私は、校正士の心構えをしっかり叩き込んでくれた校正実務講座に感謝している。良き校正士を目指すためには、技術だけでなく心持ちも重要だと教えてもらった。

 

 

講座はここで紹介したものが二大巨頭だと思っているが、その他にも学べる場所はあるので、ピンとこなかった方は他の場所も検討の余地あり。

 

「校正視点」さんのサイトで分かりやすくまとめられているのでどうぞ。

校正者になるには[未経験者へ仕事内容から資格・求人まで解説] | 校正視点|校正・校閲の専門サイト (kousei.club)

 

 

 

正直なところ、校正だけで食べていける?

端的に言うとNoかな。これは私の現状ですが。

校正の仕事の多くは出版社から依頼があるため、出版社が集まっている東京都内に住んでいる方は仕事が多いため食べていきやすいと思う。原稿と辞書類さえあれば基本的にどこでも仕事ができるので、在宅ワークにぴったりではあるのだけれども、意外と住む場所を選ぶというのが現実的な問題としてある。

校正だけで食べていくというのは今後私が挑戦していきたいことなので、その道のりも少しずつ書いていけたらいいなとは思うが、すぐに目標達成するのは難しいかな。

 

ここで何が言いたいかというと、「講座を受けてしまえば、校正だけで食べていけるんでしょ?」という楽観的な気持ちでは勉強を始めないほうがいいよということ。金銭もしくは時間に少しでも余裕がある状態で勉強したほうが、楽しく続けられると思う。

私は金銭的余裕はあまりなかったが、仕事に時間的余裕があったので兼業前提で始めた。また、前職で少し校正をかじったおかげで、自分なら校正を楽しく取り組めるという自負もあったので。

まったくの初心者の方は、講座を受講しながら自分の適性についても向き合っていくのが良さそう。紹介したものだと講座修了に半年はかかるから、ゆっくり自分に向き合う時間としても活用してほしい。

 

講座修了後に仕事の契約を取ることがまた大変だった。そこは詳細編でおいおい書くが、簡単に安定した仕事が取れるわけではないということも念頭に置いておくといいかも。フリーランス慣れしている方は問題ないだろうが、サラリーマンメンタルのまま仕事を探すとそれなりに壁があるので苦労する*4

これは校正士だから特別に困るというより、フリーランスとして働くことのメリット・デメリットを調べておくといいかなという感じ。どういった形態で働きたいのかを思い描きながら講座受講をすると、仕事につながるまでがスムーズだと思われる。

 

 

 

それでもやっぱり校正が好き

私が校正の仕事をしているのは、校正のことが好きだと思えるから。これに尽きる。

締切までの期間が短くてヒィヒィ言うような案件でも、原稿を読んでいる時間は楽しい。しんどいし大変だけど、「文章に向き合う時間、幸せすぎィ~!」と思ってしまうんだよね。校正が好きというか、文章が好きというほうが正確かな。文章に触れている時間が最高なので、校正が最高なんだよ。

好きじゃないと続かない仕事だなと勝手に思っているので、苦痛や面倒くささが勝つようならばおすすめはしない。大切な仕事だと思っているけれど、大切だからこそ面倒な仕事ではあるので、自分が無理なく続けられるかどうかを大事にしてほしい。

 

 

以上です。いつものことながら、長~~~~~~~~!!!

約3時間ぶっ通しで書き続けたものなので、補足したい点があれば随時更新したいと思います。取り急ぎ記事にすることが目標だったので粗削りでお恥ずかしいですが、参考にしてもらえると幸いです。

お互いに、よき校正ライフを~(満面の笑み)

 

 

*1:文字の大きさ・フォント・ノンブル・タイトル前後の行数空けの統一など

*2:専門用語ではルビと呼ぶ

*3:出版前に出す「校正刷り」という、校正用の原稿のこと

*4:私がそうだった。でも会社員として雇われる有難みが身に染みるのでこれもいい経験になっている。