into the blue

将来の夢はキリン

年末年始に読んだ本(と、観たドラマ)

「○○に読んだ本」、シリーズにするの結構いいかもしれない。

※前回→夏に読んだ本 - into the blue

本読むのって面倒になることも結構あるんだけど、いざ読むとめちゃくちゃおもろいのでつい読み進めちゃう。自分がただ楽しいと感じるためだけに本を読みたいなぁと最近は思う。ただの娯楽であれ。

 

  • 剣持麗子のワンナイト推理/新川帆立

2023年夏にこのシリーズの2作目を読んでおり、これは3作目。

私は新川帆立とかなり気が合うだろうなと思う。会ったこともない人にこういうこと言うのはあんまりね、良くないかもしれないが。怒っているポイントが近いところにあるのだろうなと思う。もちろん著作に書いてあることがすべてだとは思わないけれど、何作か続けて読むと匂ってくるものは確かにあるのだ。

好きだった文章を一部引用させていただく(187ページ)。

心境の変化がなかったといえば嘘になる。

だがそんなこと、人に絶対言いたくない。

経験を積めば、気づくことが増えるのは当然だ。

考え続けていれば、考えは変わるものだ。

それを変化だとか成長だとか、きれいな言葉でまとめる奴らは、何も分かっていやしない。

主人公の麗子ちゃんの言葉なのだが、感覚的に「わかる」と思った。きれいな言葉で私自身の変化をまとめられたくないよな~、それはそう。新川帆立と気が合うのか剣持麗子と気が合うのかって感じになってきたが。

内容は一話読み切りになっているが、全体も繋がっていて最後に回収されるのでそれが読んでいて心地よかった。あと結局は“強い女が強い言葉を使う”のが大好きなので、私もそうありたいと思った。麗子ちゃんのようになるのが正しいとは思わないけれど、私は私なりに強くなるよと思う。

 

4名の作家が「はじめて」をテーマに書いた作品。4名とも有名な作家さんなのにまだ読んだことがなかったので、この機会に読んでみようと思いサクッと手に取った。

全部読んだ気になっていたけれど、辻村作品『ユーレイ』のみ未読だと今気づいた。やばい、改めて読むぞ……!ということで他の3作の感想を。

個人的に一番好きだったのは森作品『ヒカリノタネ』。私も「この道を選んでなかった自分」を想像したことがあるが、全く違う人生だったのだろうと思っていた。だが、この作品を読んで、「上手くいかないからやめとけと言っても当時の私はやめないだろうから、最終的に今とほとんど同じ人生を歩むのではないか」と思った。主人公の無鉄砲さに共感する。私って無鉄砲だったんだと改めて気付く。色々思ったところで、結局はすべての経験が自分だしそれはそう、という気持ちになる。前向きな作品で好きだ。

島本作品『私だけの所有者』と宮部作品『色違いのトランプ』、全く違うテーマだけれど、どちらもオチへ向かう展開が凄かった。前者は「あぁ~~~そう来たか~~~」と思ったし、後者は「不穏かと思ってたけどめちゃくちゃいい話じゃねえか~~~!」となった。ミステリを読み慣れていることもあり、話のオチの付け方が上手いとすぐ好きになるため私はチョロい。

いや、それにしてもさ、この4作品ってYOASOBIの曲とのコラボプロジェクトだったのね……。今これを書きながら知ったという。それぞれの曲を聴いたら意味が分かりすぎて凄かった。『セブンティーン』とか『好きだ』とか何も知らずに聴いていたけれど、小説を読むと「“完全再現”じゃん……」という気分が味わえる。

※楽曲詳細→YOASOBI|直木賞作家コラボプロジェクト4曲と小説をまとめた『はじめての - EP』5月10日発売 - TOWER RECORDS ONLINE

 

  • 女子が一生食べていける仕事選び/上田晶美

なんかいかにもな啓発本でアレなんだけれど、読みやすかったし面白かった。こういう本は全部を鵜呑みにするというよりは、「こういう意見があるんだ」という受け取り方をするために読んでいる。自分ひとりじゃ考えに限界があるので、それを広げてもらったり考えが一部同じであれば肯定してもらったりということに使わせてもらっている。

「女性は子育てや家事などで仕事を辞めてしまうこともあるが、自分で稼いでいく術は持っておいた方が良い」というスタンスで話が進むのだが、この意見には私も全面同意だ。何かあったときに自分で稼いでいれば生きていくことができる。経済自立は大事。

長らく事務仕事をしているけれど、事務って将来性が無いよね~とぼんやり思っていたのでハッキリと断言されていっそ気持ちが良かった。仕事が減っていく世の中なので、今が良ければそれでいいんか?というのは考えるべきポイントだよなと思う。

 

  • 【ドラマ視聴】自転しながら公転する/山本文緒

この作品を本屋で見かけて「気になる~~~!」と思っていたところ、松本穂香主演でTVドラマ化されるということを知り「うわ、ドラマ見るぞ~~~!」となったのだった。本は未読だが、ドラマ版を視聴済み。全3話なので見やすい。ドラマは短いので小説の内容を網羅できているわけではないのだろうが、大筋は分かるので観て良かったと思ったし、改めて小説も読みたいと思った。きっと小説のほうが主人公がグチグチ言っている描写が細かく読めて最高だと思うので、早く読みたい。

 

『自転しながら公転する』というタイトルとあらすじを読んだだけで、「あぁ~!」となるのがこの本の面白いところだなと思う。自分個人のことをこなしながら、周りのことも同時にこなしていく。これってまさに自転しながら公転している……!と気付く。このタイトルにしたの天才だな~。

同い年の友人とよく話すことなのだけれど、「私には私の地獄があり、あなたにはあなたの地獄がある」というやつである。まさにそういう話。主人公にも主人公の地獄があるのだが、他の人はまた違う地獄を抱えている。あ、私の言う“地獄”っていうのは、“それぞれの人生で起こる大変なこと”という意味だ。実家が大変なケースもあれば、結婚相手が最悪なケースもあり、産んだ子に手を焼くケースもあれば、子ができなくて苦しむケースもあり。それらを比べて誰が一番大変かと言い合うことほど不毛なこともないので、「それぞれの地獄があるよね」と思うようにしている。そういう地獄に立ち向かう一人の女性の話。

TVerでまだ見れるのでぜひ→自転しながら公転する|ドラマ|見逃し無料配信はTVer!人気の動画見放題

 

 

あぁ、また長くなったなぁ。今回の年末年始はゆっくり過ごせて、「いい年末年始だった」という気持ちが強い。12月に残念な結果が出て、私は結構焦っていたんだなと思う。その焦りを一度リセット出来たお休み期間だった。

焦っても仕方がないので、出来ることをやるしかないし、出来ることをやるために考える時間もたくさん持つようにしたい。読んだ本を支えにしつつ今年もやってやんぞ。