into the blue

将来の夢はキリン

夏に読んだ本

今年の夏(8月)に読んだ本をまとめておく。

夏の間はどうにもこうにも暑すぎて、日の高い時間帯は外に出ないのが得策だと気付いた。じゃあ家の中でやることを作ろう→本を読もう!となったのだった。私は本を読むのが好きだけどたくさん読むタイプではないので、冊数はそこまで多くはない。一冊のことをずっと引きずって咀嚼してるからね。燃費がいいのである意味得かも、ということにしておく。

 

  • 倒産続きの彼女/新川帆立

著者の新川帆立という人物がどうやらおもろいらしい、ということで手に取った一冊。文体が読みやすくて、内容は読みごたえがあって、お気に入りの作品の一つになった。読み始めた時点では主人公のことを「こういう女性苦手だな……」と思っていたが、読み進めるごとに大好きになっていった。ついでに先輩である剣持麗子のこともさらに好きになった。麗子は個人的には友人にしたい。

人生のことを考えた一冊だった。家庭・環境・能力・適性、みたいなことを。色々あってもいま目の前にあるのが自分の人生で、それを全うする主人公は偉い。

 

※読んだ当初にも感想を書いた→“同じくらい異なる私たち” - into the blue

 

 

  • 東大に名探偵はいない/市川憂人、伊予原新、新川帆立、辻堂ゆめ、結城真一郎、浅野皓生

東大卒・東大生の6名によるアンソロジー。昔ならこういうの見向きもしなかった(嫉妬するので見ないようにしていた)けれど、QKを好きになってからは東大と名のつくものでもあまり偏見なく手に取れるようになった。ある意味でハードルが下がった。東大生が凄いのは承知の上で、だとしても結局は人間だしな、みたいな。同じ生き物だから何をそんなに特別視する必要があるのか、という一種の開き直りではある。

正直な話、これも新川帆立さん目当てだった。タイトル、『東大生のウンコを見たいか?』だからね。狂ってて大好き。もちろんただのウンコ話ではなくしっかりミステリをやってのけるので最高。

他では結城さんの『いちおう東大です』も読んだけど、あれだね。東大生って、大変だね……と思った。男も、女も、それぞれ大変。“男女ともに”ではなく、男には男の大変さがあり、女には女の大変さがあるなと思った。色眼鏡で見られる人生ってやつを疑似体験できる。おすすめですと声を大にするのは憚られるような気もするけれど、おすすめです。

公式サイトにQK河村さんの書評が載ってることに今気づいて笑ってしまった。東大と名の付くものを辿るとだいたいQKがいておもろいしすごいね。河村さんはどんな気分で『いちおう東大です』を読んだのかがめちゃくちゃ気になるな……。

 

※河村さんの書評→【評者:河村拓哉(QuizKnock)】東大とは、普通の東大生がただの人になる空間である。――『東大に名探偵はいない』レビュー | カドブン

 

 

あさのあつこさんって名前はよく聞くけど、実はちゃんと読んだことなかったのでは……?と急に気付いて手に取った一冊。上の画像は文庫だけど、ハードカバーで読んだ。装丁が超超超かわいいのよ……!!!本当に素敵な装丁なのでぜひハードカバーで読んでほしい。いわゆる遊び紙っていうのかな?その紙がレースのように透けてて素敵なの~~~!!!最高。

『倒産続きの彼女』とはまた違うけれど、人生というものを考えた本。表向きには分からない人間の事情って山ほどあるんだよねと再確認する。大声で言える人生の話ばっかりじゃなくて、言いにくいけどでもとっても大事な人生の話をしていきたいよね。こういう物語があるということは希望。主人公が人間に触れていく様子がとても良かった。全編通じて好きだけど特に『おさななじみ』が切なくて良かった。優しさと鋭さが共存するお話で大好き。

 

 

  • めんどくさがりの自分を予定通りに動かす科学的方法/竹内康二

表紙がかわいいのと、内容的にA氏に読ませてぇ~~!と思って手に取ったもの。A氏に渡したらすぐ読んでいたので驚いた。しかも読み終わるのがめちゃくちゃ早かったので、そういやこの人って本読むスピードが速い人だったんだなと思い出した。

私も簡単に読んだけれど、めんどくさがってしまう時に気力でどうにかできるというのは思い上がりだったのだなと思った。「めんどくさい」にもちゃんと科学的な根拠があるのでそれを利用すればいいのだと分かった。

 

 

三浦しをんさんのエッセイ集。っていうかさ、この本を読むまで三浦しをんは男性だと思い込んでいたよ。なんで?怖いね。昔写真を見たような気がして、イケオジ風な見た目だったよな……と検索したら女性だったのでビビり倒した。内容を読んでいると「すっぴん」とか「ネイル」とか出てくるので、ん……?と思い調べたことで判明した。調べて良かったよ。性別によってどうこうはないけれども、エッセイを読むなら一応知っておいたほうが理解しやすいことがある。

虫と植物に格闘する様子がおもしろい。我が家も田舎にあるのでよくわかる。虫対策って重要なんだけど、やりたくないことでもあるのよね。肩肘張らない素直な文体で読みやすかった。本の中で紹介されていた本『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』を読みたくなった。101個当てはまってしまったらどうしようね(どうしようもない)とか思って面白がっている。

 

 

この本も装丁がとっても素敵。川上さんの本も初めて読んだのだけど、私はなんだか慣れない文体だった。読みやすいパート(主人公が友人と話しているパート)と、読みづらいパート(主人公が一人で行動しているパート)が交互にやってきて、不思議な感覚に陥った。高速道路を走りながら、霧の中に入って、晴れて、霧の中に入って……を繰り返した時のような感覚と似ている。もやがかかったような感じなのよ。はじめましての著者の方だとこういう体験ができるので面白いな~と思う。

最近の私にしては珍しくミステリではない本。恋愛ものなんだろうけれど、恋愛ものと括ってしまうのはちょっと違うかなと思うような作品。聖の闇を垣間見たが、聖って結局いいやつだよねと私は思った。割と仲良くなれると思う。

校閲をしている日々の描写が丁寧に描かれていて、そのことはすごく嬉しい。校正者・校閲者のお話はもっと増えたらいいと思っている。

 

※読んだ当初にも感想を書いた→ミステリしか読まんのか君は - into the blue

 

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以上6冊でした。思ったより長くなったんですが……(ここまでで2909字)。がんばりすぎたな。まあいいか。秋は秋で本を読むのに気持ちがいい気候だから、また何か読んでいけたらいいかな。しばらくは勉強に集中するのでなかなか時間が取れなさそうだけれど……。