into the blue

将来の夢はキリン

ずるいを使うのってずるい?

久しぶりに言語探究的な内容を書いてみようか。

Xで、「ずるいという言葉を使いすぎている」という説を読んだ。「単に羨ましいというだけなのに、すぐにずるいと言うのはいかがなのだろうか」という話だった。確かに、言われてみればそうだ。「ずるい」という言葉はポジティブな意味でもネガティブな意味でも、数年前に比べるとより多く・より気軽に使われるようになっているという実感がある。

「私の彼氏が格好良すぎてずるい」みたいなポジティブなワードは進化だなぁと思う。格好良くて好きだけど、私ばっかり好きになっちゃって悔しい、みたいな絶妙なニュアンスも含まれたいい表現だなと思う。いい表現だけど多用してしまうと逆に浅くなるので、用法用量を適切に使いたい。単純に格好良くて素敵だと思った時には、素直に褒めたり素直に惚れたりしたほうが良さそう。なんだろう、こういう絶妙な表現が増えたということは、みんな素直じゃなくなってきたのかしらね。素直じゃない人間代表の私が言うことでもないのだが……。

 

「あなたの彼氏が格好良くてずるい」みたいなネガティブ表現は、確かに言葉が強すぎると感じる。主語を変えるだけでこんなにも違うのか。「ずるい」という言葉を聞くと、何に対して「ずるい」のだろう?と思うことがままある。他人の彼氏が格好良くてずるいのは分かったけど、誰が誰に対してずるいって話?みたいな。現代人は他人を羨ましがる気持ちが強くなっているのかなぁ。というか、自分と他人を単純な軸で評価してしまうことが増えたからかもしれない。

日常の中で比べられる要素がたくさんあるし、年収○円とかフォロワー○人とか、分かりやすく数字で出るものは誰でも簡単に比べることができてしまう。でも、実際は数字なんかじゃ分からないこともたくさんある。その辺があまり見えていないのだろうか?見ようとしていないだけなのだろうか。目に見えないことの方が大事なのに、見えないからってすぐに見失ってしまう愚かな私たちよ。

 

三省堂国語辞典』を参照したら、前者のポジティブな意味も載っていてさすがだった。説明文に「あざとい」という言葉もあった。なるほど、ずるいとはあざといのか……。

「ずるい」と言われることって今の私の日常ではそうそうないけれど、もし言われたとしたら、どの意味で「ずるい」のかハッキリと意味を掴んでおきたいと思った。私だけ有利なことをたくらんでいる様が卑怯だと思われているのか、本当に私は卑怯なのか、それとも単に羨んでいるだけなのか。言いたいことは一つでも、言葉の使い方によってものすごく印象に差があるので気を付けたいと思った。今回の結論。